STMicroのジャン・マーク・シェリー(Jean-Marc Chéry)CEOへの取材記事がロイターに掲載されています。

  France' STMicro sees no reason to take part in EU chip alliance(ロイター)


その前段の話があり、EUは今般の半導体不足を受けて、外国企業への依存度を下げるため、EU域内でのチップ生産の世界シェアを10年間で10%→20%に引き上げるという目標に向かい、22か国とのアライアンスを結んだとのこと。

(リファレンス:More EU member states join forces to support local chip production

EUでも自動車産業を中心に半導体不足のダメージが広がっており、東アジアに偏りつつある半導体の生産を呼び戻そうという機運が生まれています。

EUというのはいつも何かと理由をつけて域内の産業を保護したり非関税障壁を作ったりするものですが、今回の件はどこまで税金が投入されるかにかかっているでしょう。

経営者にしてみれば、EUでの生産は高コストですから、補助金や減税などの飴がなくては乗れない船のように思います。

 

 さて、ジャン・マーク・シェリーCEOの発言の話に戻りますが、このアライアンスを評価するも、STMicroとしては乗り気ではないようです。

TSMCへの委託で東アジア~東南アジアで完結する生産体制の構築を進めてきたSTMicroにとって、逆行するような政治からの要請は簡単にのめるものではないでしょう。

そしてチップ不足についても以下のように発言しています。 


シェリー氏は、チップ不足は解消されないだろうと予想している。「需要と生産能力のバランスが取れていないため、少なくとも1年は続くだろう」と述べた。

 

とのことで、経営者の認識として少なくとも1年だそうです。 

それ以上続いたらどうなるんだろう……という危惧がありますが、我々電気エンジニアは、これからしばらくの期間は大量の在庫を調達部門に確保してもらうか、ダメなら性能や実績ではなく調達性を最重視して部品を選定しなくてはならないでしょう。